2016のコンセプト:
What’s Lighting Design?
今年も主催者からの大きな期待に応えるべく、石井リーサ明理&石井幹子が光のテーマ特別展示のプロデュースとアート・ディレクションを担当します。厳選された照明素材(既製品、特注品、光源、発光体、芸術への応用、制御技術等)を駆使し、ビジターやプレスに照明の「MUST」をご覧に入れ、体験して頂きます。今回の副題は「What’s lighting design ?」。
今回の副題「What’s lighting design ?」のワケは・・・
- 意外にも、照明デザイナーという仕事は未だによく知られていないため
- 照明デザインは、インテリアデザインに大きく貢献出来る可能性を秘めているため(これはM&O展示会自体が
重視している課題でもあります)
・ より効率良く、狙った効果を演出できる
・ 心地良さを追求する光の新技術が、健康に関連付けて考えられる
・ 上質な照明を洗練された手法で取り入れると、空間の雰囲気がアップする
・ 照明計画の様々な要素によって、「物語」を語ることができる、等々
- 照明デザイナーが持つ最新のノウハウは、クリエイションの世界でも有用なため
- この様な展示を行う事で、照明業界の発展、マーケットの拡大、ニーズによりマッチした製品や革新的な製品の開発に貢献し得るため
展示手法としては、昨年までに引き続き、日本と世界の光最先端技術を駆使しながら、光・音・映像、多分野のデザインや多様な感覚の刺激を駆使して、光の新たな新しいクリエイションを広く世界に発信いたします。
6つのスペースで、6つの光体験。各部屋の構成は次の通りです。
1. “We, lighting designers, draw lighting objets.”
- 私たち照明デザイナーは、特別な光オブジェをデザインします。
光は、空間を決定づける重要なエレメントのひとつです。空間に個性を与える為に、プロジェクトの「目玉」オブジェとして、照明デザイナーがシャンデリアなどの照明器具を創作することもよくあります。 私たち照明デザイナーは、様々な素材に対するノウハウと創造性を駆使し、特注光オブジェをデザインします。ゼロからデザインする場合も,照明器具を組み合わせて建築にマッチさせる場合もあります。
回遊の導入部分であるこの部屋では、2台の特注光オブジェが展示されます。
協力: Sumitomo Chemical 住友化学 - Xal グザル
光は、ポエムやストーリーなど物語を語ります。照明デザイナーであるということは、時空間に配された光源を使って、これらの物語をつくりあげるということです。詩人が言葉を使ってそうするように、リズムやコントラスト、色彩や韻、響きなどを加えることで個性を表現することも可能です。この作業は、文法に則って文学が構成されるように、(電気的、光学的等の)規制にも配慮しつつ行われなくてはなりません。
この部屋では、光と影がパノラマ的な光の風景をつくり出し、山での一日の物語を語ります。
協力: KKDC - Technilum テクニリューム
音楽: I.C.O.N.
私たち照明デザイナーは、器具よりも光効果を重視します。
私たちはよく、照明器具の色や形を気に入って購入しますが、実際に点灯してみると明るすぎたり、冷たすぎる印象の光だったり、眩しすぎたりしてがっかりする事があります。照明器具選びの罠です。照明のプロとして、(「色温度」と呼ばれる)白色のニュアンス、壁面での拡がり方(配光)、眩しさ(輝度)、強さ(照度)などの光学的効果を踏まえて照明器具を選ぶことで、求められる光の効果を引き出し、思い通りの雰囲気をつくりあげるのも、私たち照明デザイナーの仕事です。
この部屋のデモンストレーションで使用されている照明器具の数は僅かですが、その効果は一目瞭然で大変優れたものであり、光効果というものを実感して頂けるはずです。天井に埋め込まれた直線状の照明器具から円い光が形成されるのを見れば、照明器具自体の形とそこから発せられる光の形は別物であるということもお分かり頂けるでしょう。更に、たった数本の光のビームによって、空間のボリュームが違って感じられる(光が空間のボリュームを決定付ける)という驚くべき現象もご覧に入れます。
協力: iGuzzini イ・グジーニ
人体には「サーカディアン・リズム」と呼ばれる生物学的リズムが備わっています。最近の研究から、このリズムと生活環境の光の間には、密接な関わりがあることが証明されています。人類は何万年もの間、朝はソフトなオークル色の光、昼には白色の強い光、夕方になると和らいだオレンジ色の光…といった自然の光のリズムと共に生きてきました。ですから、我々が一日中強いレベルの光の中で生活すると、このリズムが乱れ、その結果、例えば睡眠障害といった健康上の問題を引き起こしてしまうのです。
この部屋では、事務所やホームオフィス用に開発された革新的な照明器具シリーズの展示を行います。このシステムは、ユーザーのサーカディアン・リズムを整え易くする為に、光のパワーや色味を一日の時間帯に応じて、その時に最も相応しいものに自動制御するものです。レトロなフォルムの電球(実はLED)などの特殊器具を利用すれば、同じ空間でも違った雰囲気を演出することが可能です。
協力: Okamura オカムラ製作所 - Sylvania シルヴァニア
音楽: I.C.O.N.
照明デザイナーという職業は、ガラスのファサードを持つ新しい建築スタイルを美しく演出する為に、1930年代にアメリカで生まれました。光によって空間や建築の構造を美しく演出しつつ、如何に照明器具が見えないように建築に調和させられるか、ということに主眼が置かれてきました。今日では、技術の進歩により、空間とその用途にマッチした照明を僅かな消費エネルギーでつくり出せる様々な手法や器材が開発されています。
この部屋には、見かけは同じスポットライトの器具ですが、異なる3種の光学システムを装備したものが展示されています。各器具は、それぞれが照らす対象に合わせて、異なる照明効果が引き出せるように設定されています。この小さな照明実験ルームでは、異なる配光と制御システムを体験する事で、最新のテクノロジーを、効果的かつ簡便に活用できるということを実感して頂けるでしょう。
協力: Erco エルコ
照明界は日進月歩で成長しています。LEDや有機ELなどといった新しい光源や、カラーコントロールシステム、光学アクセサリー等によって、表現の域は更に拡がり、アプリケーションのインテリジェンスレベルも向上しています。これらの技術を試し、業界にフィードバックを行う事で技術の向上に寄与することも、照明デザイナーである私たちの使命です。斯くして、照明界は、効率や種類、美観等の面で、然るべき方向に前進しすることが可能になるのです。
この展示室は、ピラミッド型の光の彫刻シリーズ、次世代光源のレーザースポットによって変貌するビジューのデモンストレーション、光と色をミックスした芸術的インスタレーション、の3つの展示ゾーンに分かれており、芸術的パフォーマンスに応用された最先端の照明技術をご紹介します。
協力:スタンレー電気 Stanley Electric
音楽: I.C.O.N.